ネットに載っていないダイエットの極意とは?
さて、今回は前回に引き続き、ダイエットのお話です。
前回、「メディカルダイエット」はただ薬を出すだけでちゃんとダイエットに向き合っていない悪質なクリニックが散見されているのが問題であるというお話をしました。
ただ、こういったクリニックは何らかの規制が無ければなくならないだろうと思っています。今回はダイエットの難しさとどうやってそれを克服するかについてお話したいと思います。
肥満の治療は5つあります
さて、ダイエット(肥満治療)の重要な軸が5つあります。正確には基本的な3つにオプションの2つです。
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食事療法
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運動療法
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行動療法
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薬物療法
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外科療法
http://www.jasso.or.jp/data/magazine/pdf/medicareguide2022_05.pdf
上の3つが基本的な要素で、下の2つについてはそれでもうまくいかない人に対する治療です。
さて、メイン3つで、「行動療法」というあまり聞きなれないものがあるかと思いますが、実はこれがある意味一番重要なのです。
食事を減らしたら痩せる、運動したら痩せる、薬を投与したら痩せる、手術したら痩せる、これらの事はマウスやランダム化比較試験などの厳格な試験では効果が出ます。そして、そのエビデンスはかなり強固です。でも実際の人間が本当にできるのか、そして続けられるのかというのが問題になってきます。この行動療法について十分にわかっていない人がダイエットを指導すると「食事減らしてください・運動してください」の無理難題をふっかけてしまうみたいな事が起きてしまいます。
行動療法の重要性
そもそも、太っている人は何故太っているのでしょうか?これをお読みの方で太っている方考えてください。何故、貴方は太っていますか?何か特別な生活をしているからですか?そうではないですよね、他の人と比べたらもしかしたら違う生活かもしれませんが、その方にとっては普通の生活の幅の中だと思います。勿論、最近運動不足で太ってきた、最近飲み会が多かったなど生活の変化で太った場合もありますが、何かを意図した生活の変化というわけではなく、ある程度避けられない生活の範囲の中でのことだと思います。
つまり、生活と体重というのはかなり密接に関係しており、簡単には切っても切り離せないのです。しかし、その生活そのものを変えようとしないと短期間は食事や運動が頑張れたとしても長続きしませんし、根本的に太りやすい状態が改善されないと、一度痩せてもまた太ってしまいます。そこで行動療法は日常生活を振り返り、体重増加に関係する問題行動に気づき、それを修正する事であり、食事療法・運動療法を支える重要な治療です。
方法ばかり語るダイエット術では続かない
ダイエットの方法を調べると行動療法についてあまり語られる事は少ないです。例えば、「毎日、体重を測定する」というのもかなり基本的で重要な事なのですが、ダイエット方法で検索してもあまり出てきません。ちなみに、肥満治療ガイドラインでは(エビデンスがあるかどうかはおいとして)1日4回(起床後、朝食後、夕食後、就寝前)体重測定が推奨されています。
http://www.jasso.or.jp/data/magazine/pdf/medicareguide2022_09.pdf
インターネットを見てダイエット法を学んだ人の場合、こういった事はあまり学べずに食事や運動を「頑張る」事を行い、結局長続きせずに、「ダイエットは難しい」という経験をたくさん積むことになると思います。
そうなると、「メディカルダイエット」の広告にある「無理せずダイエット」「食事制限・運動制限なし」の文言に惹かれ、魔法のように体重減ると信じて、薬を手に入れるとなってしまうのは自然だと思います。これはメディカルダイエットに限らず、機能性食品も糖質カット炊飯器も全身振動ブルブルマシンも「辛いダイエットは嫌なので簡単に痩せたい」その気持ちにビジネスとしてのマーケティングが広がっているのです。