本音で語るGLP-1ダイエット

肥満治療最前線の医師がエビデンスと診療経験に基づいて語ります
筋肉博士(大坂貴史) 2023.04.25
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今回のお話はGLP-1ダイエットのお話です。

かまいたちの山内さんがダイエット目的にGLP-1受容体作動薬を使って痩せたという話をYouTubeで語ったことにより動画が炎上、ニュースにもなりました。現在はこの動画は削除されています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/262399f5c079238ad0e79b6d230c95a65815d7a4

https://news.yahoo.co.jp/articles/262399f5c079238ad0e79b6d230c95a65815d7a4

GLP-1受容体作動薬については、LumediaでGLP-1ダイエットは安全か?というお話を書きました。

もはやですね、私のフォロワーさんたちはGLP-1ダイエットは危険だからやめましょう!みたいな話は聞き飽きているんじゃないでしょうか。

糖尿病内科医である私はGLP-1受容体作動薬を処方しない日はないという程、たくさんの方に使用してきました。そして、血糖値を下げるために使用する事もありますが、体重を減らすために使う事の方がどちらかというと多いです。

そんな私が、美容業界で流行っているGLP-1ダイエットについてエビデンスと診療経験に基づいて、本音で語ります。

目次

  • GLP-1ダイエットはなぜなくならないのか?

  • GLP-1受容体作動薬は安全な薬なのか?

  • GLP-1ダイエットの問題点はどこ?

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GLP-1ダイエットはなぜなくならないのか?

みなさん、痩せたいですか?私は痩せたいです(涙)いや、太っているわけではないのですが、痩せてはいません。日本国民栄養調査(参考文献 1)ではBMI:25kg/m2の肥満の割合は26.3%と決して少なくありません。このBMI:25kg/m2という基準は太り過ぎで高血圧症や糖尿病のリスクとなる基準として保健指導上は重要ですが、みなさんが感じる理想の体型というのはまた別のところにあると思います。

古いデータですが、平成20年度の国民栄養調査(参考文献 2)で体重を減らしたいと思っている人の割合は男性で40.5 %、女性で51.6 %と約半分です。普通体重の方でも男性 30.8 %、女性 49.9 %の方が痩せたいと考えています。また、質の低い報告となりますが、主婦の友社が主婦187名を対象に行なったアンケートでは痩せたいと思っている方は75.9 %とかなり高くなります。

痩せている人がかっこよく見えるかどうかは個人の主観ですが、そう感じている人が多いという状況ではどうしてもそのような価値観が生まれるのは仕方がないと思います。

そんな中、自分が思う理想の体重を維持するのはとても大変です。スーパーやコンビニではなんとかして商品を買わせようとレジ横にお菓子を並べ、しかも24時間買いに行けるお店も多いです。また、美味しい食事がSNSで流れ、チェーン店の食事も大変美味しいです(個人的感想)。そんな中、特に田舎では車が発達し、体を動かす機会が減っている人も多いです。とにかくダイエットするのは大変なのです。

そして、少し前まで肥満治療に有効な薬はありませんでした。しかし、GLP-1受容体作動薬が体重減少の効果があることがわかってから、アメリカにおける肥満治療が大きく変わったようです。ただ、GLP-1受容体作動薬は注射薬として開発されました。注射薬への抵抗があることが多いですが、リベルサスという飲み薬の発売でその不安が取り除かれる方もいらっしゃるでしょう。このGLP-1受容体作動薬の体重減少効果は(他の薬剤と直接比較したわけではないですが)かなり強く、例えば日本でも発売が予想されているウゴービという薬の試験(参考文献 3)では68週間の投与で平均15.3 kgの体重減少というものすごい結果が出ています(もちろん元々の体重が重たいと言う事があるのですが)。

これだけ効果のあるGLP-1受容体作動薬ですが、現時点では日本では糖尿病の方以外に使用できません。前述のウゴービが承認されましたので、肥満者には使えるようになりますが、条件は下記の通りかなり厳しいです。

そういった事も踏まえて、日本糖尿病学会から「GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解」というものが出ております。

こちらをまとめますと、

✔ 適応外使用するな

✔ 過度な広告をするな

✔ 専門医がするのは絶対許さん

となっており、美容目的にGLP-1受容体作動薬を使うのはダメとしております。ただ、これらは医師向けの物です。患者さん向けではないため、患者さんはどうしたら良いのか、何がダメなのかについてあまり書かれていません。ちなみに、消費者庁、厚生労働省、国民生活センターは合同で「美容医療を受ける前にもう一度」という資料を作っています。が、何がどうダメなのかはよくわかりません。

ですので、痩せたいな〜と思う方が大変なダイエットしながら、楽にダイエットしたいと思ってたくさん宣伝されているGLP-1ダイエットに手を伸ばしてしまうのは想像に難くありません。そこに消費者がいる限り、ビジネスチャンスとしてのGLP-1ダイエットはなくならないでしょう。

GLP-1受容体作動薬は安全な薬なのか?

GLP-1受容体作動薬そのものはみなさんが思っているより安全な薬です。

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