断食は本当に健康的なのか
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今回のテーマは断食(ファスティング)についてです。
海外のセレブ達やインフルエンサーなどがしている事で有名になっているファスティングですが、その効果や安全性はどこまで確認されているのでしょうか?
今回はファスティングの効果や安全性についてお話していただきたいと思います。
目次
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こんな効果がある!に注意
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正しいファスティング方法
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真のファスティングの効果は?
こんな効果がある!に注意
ファスティングの効果を検索すると、「腸内環境改善」「免疫力アップ」「ダイエット」「肌荒れの改善」など様々書かれています。デトックスで健康によさそうというイメージが広がっているようです。
実際、「The New England Journal of Medicine」という世界で最も有名な総合医学雑誌に掲載されたファスティングの特集においてファスティングが肥満、糖尿病、心血管疾患、癌などの多くの健康状態に幅広い効果があると書かれています(参考文献 1)。
これだけ読めば、はい!ファスティング素晴らしい!終了!ってなりそうですが、そうは問屋が卸しません。
例えばこちらの研究(参考文献 2)ではファスティングによる体重、BMI、腹囲、血糖値、中性脂肪が有意に減少したという結果が示されているのですが、何と比べているのかと言うとファスティングをしない群=普通の生活を送っていた群です。こういう研究でのファスティングでは厳密なカロリー制限を行っています。カロリー制限を行えば体重が減るのは当たり前ですし、太っている方が痩せれば糖尿病や心血管疾患などの肥満に関係した病気が良くなるのは当たり前です。研究結果を解釈するためには「どのような人を対象として」「どのような事をしたら」「どのような事をしている人と比べて」「どのような結果が得られたのか」が重要です。そして、研究結果はこの中でのみ有効ですので、肥満者を対象に行われた研究が痩せた人に通じるわけではありません。
ちなみに、痩せた健康の方に、二日に一日150%の量の食事摂取を行う事を、毎日75%の量の食事摂取と比べて、どれだけ体重に変化があったのか評価された研究では体重変化はどちらも変わらなかったとされています(参考文献 3)。
ファスティングから得られる効果の最も大きな点は体重が減る事による肥満関連疾患の改善効果です。
正しいファスティング方法
さて、ファスティングを行う際に方法は重要です。研究と同じ内容でなければその研究で得られた効果は期待できません。例えば「1日16時間は何も食べないが、残りの8時間は何を食べてもよい!」などが書かれたファスティングの記事を見かけますが、そういう論文もあるし、そうでない論文もあります。
例えばこちらの先述と同じ「The New England Journal of Medicine」という雑誌で紹介された最新の研究(参考文献 4)では、毎日8時間以内(午前8時から午後4時まで) に男性は1日あたり1500~1800 kcal、女性は1日あたり1200~1500 kcalで、カロリー全体の40〜55%を炭水化物から、15〜20%をタンパク質から、20〜30%を脂肪から摂るようにしていました。カロリー量は元々の食事の約75%であったようです。カロリーの調整のためには1日1回のプロテインが使われました。
カロリー制限がない研究もあります。こちらの研究では(参考文献 5)、午前12時〜午後8時までの間は好きなだけ食べる事ができ、残りの16時間は水、ブラックコーヒー、無糖の紅茶のみ摂取できるという内容です。
前者の研究では12ヶ月間で8kg体重を減らし、後者の研究では3ヶ月で0.9kg体重を減らしています。この後者のプログラムつまり、時間制限でいくらでも食べて良いという方法で前者のような効果を期待する事はできないのです。
こう言ったことを全てごっちゃにして「ファスティングは体重が減る!」とまとめてしまうと結局効果がないばかりか、摂取量が増えてしまう場合は体重も増えてしまいます。