身近な糖尿病リスク「発症しやすい生活環境」(前編)

コーヒーは?人種は?睡眠は?糖尿病との関係をエビデンスに基づいてまとめました。
筋肉博士(大坂貴史) 2023.04.05
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今回のお話は2型糖尿病のなりやすい環境についてです。

〇〇で糖尿病予防!などはいい加減な知識が多すぎます。ネット記事はバズらせるためなどもあり、いい加減な情報の宝庫です。マウスでしか言われていないこと、因果関係が明らかになっていない事など根拠のない情報にあふれています。

もちろん、根拠のない情報であってもまだ十分に調べられていないだけで、将来明らかになっていく話もあります。それでも現時点で明らかになってる情報を中心に生活を整えていくのが優先されるべきですので、運動しなくてもこのサプリを飲めば予防!みたいなものは現時点では存在しないと考えていただければ良いと思います。

そもそも、なりやすい環境を取り除けば2型糖尿病の予防につながるとは限らないのです。

例えば、「Aという食品を取っていない人が糖尿病になりやすい」ということと、「Aという食品をとると糖尿病になりにくくなる」というのは全く別です。このあたりがよく詐欺に使われますのでご注意ください。2型糖尿病の予防方法については次の記事で解説します。ご登録いただくとメールで記事をお届けできます。

今回は糖尿病になりやすい生活などについて解説していきます。

目次

  • 改善できない2型糖尿病のリスク

  • 食事以外の2型糖尿病のリスク

  • 食事に関係した2型糖尿病のリスク

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改善できない2型糖尿病のリスク

1. 家族に糖尿病の方がいる

家族(一親等:両親、兄弟、子供)に2型糖尿病の方がいる場合、いない場合に比べて2〜3倍糖尿病になりやすいと報告されています(参考文献 1)。また、両親ともに2型糖尿病であると、5〜6倍に上がります。これには生物学的な遺伝だけでなく、食事やタバコなどの生活習慣や環境も遺伝しますので、全く改善できない要素ばかりではありません。

2. 出生時の体重

産まれたときの体重が5ポンド(2267.96 g)未満の場合、1.8倍糖尿病になりやすいと言われています(参考文献 2)。また、逆に産まれたときの体重が4000g以上の場合も2型糖尿病になりやすい可能性が指摘されています(参考文献 3) が、こちらはどちらかというと母親の肥満や糖尿病などの背景による影響が大きいと言われています。

また、妊娠32週以下の未熟児で産まれた子供も幼少期におけるインスリンの感受性が低いという報告もあり、2型糖尿病のリスクである可能性が指摘されています(参考文献 4)。

3. 人種

実は日本人の多くを占めるアジア人も糖尿病になりやすく、看護師の健康調査を体重を考慮して計算すると白人と比べて、2.26 倍糖尿病になりやすいと報告されています(参考文献 5)。ただ、これは純粋に人種による違いだけかというと食生活、経済状況など他の背景も大きく関係しているため、近年の食の欧米化が日本における糖尿病患者の増加につながっていると言われており、糖尿病になりやすい日本人はさらに生活に気をつける必要があるということです。

食事以外の2型糖尿病のリスク

1. 肥満

有名な話ではありますが、太れば糖尿病になりやすくなります。最近行われた230万人の糖尿病患者を含めた2600万人を対象としたメタ分析ではBMIが5増えたときに1.72倍糖尿病になりやすくなると言われています(参考文献 6)。ただ単に体重が増えるだけでなく、お腹周りが10cm増えることで1.61倍ヒップに対するウエストの割合が0.1増えたときは1.73倍体脂肪率が10%増えた場合は2.05倍と脂肪、特にお腹周りの脂肪が増えると糖尿病になりやすくなるようです(参考文献 6)。

2. 運動

座る時間が長いと糖尿病になりやすくなります。座りがちの生活はそうでない生活に比べて1.91倍糖尿病になりやすいと報告されています(参考文献 7)。また、特にテレビの視聴時間は糖尿病のリスクで、1日2時間のテレビ視聴は1.2倍糖尿病になりやすいと言われています(参考文献 8)。

他にも有酸素運動や筋トレをしている人はそうでない人に比べて糖尿病になりにくいことが報告されています(参考文献 9)。

3. 喫煙

意外に思うかもしれませんが、喫煙も糖尿病のリスクです。120万人を対象とした研究ではタバコを吸っている人はそうでない人に比べて1.44倍糖尿病になりやすく、その中でも1日20本未満であれば1.29倍であるのに対して、20本以上の人は1.61倍とさらにリスクが高くなります(参考文献 10)。

4. 睡眠時間

睡眠時間も糖尿病と関係があります。睡眠時間が6〜8時間である場合と比べて、短い場合は1.28倍長い場合は1.48倍糖尿病になりやすいと報告されています(参考文献 11)。ただ、この関係は別の研究(参考文献 12)では体重とウエスト・ヒップ比で補正すると無くなるため、睡眠と糖尿病についての因果関係ははっきりしていません。冒頭の繰り返しになりますが、睡眠時間が長い人が糖尿病になりやすかったことと、睡眠時間を長くすることで糖尿病になりやすくなることは別なのです。

食事に関係した2型糖尿病のリスク

この先の目次

  • 洋食、砂糖入りジュース、ビタミン不足と糖尿病の関係

  • 乳製品、ナッツ、玄米、コーヒー緑茶は糖尿病の予防になるのか?

参考文献1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12

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