糖質制限はやり方を間違えると危険
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今回のテーマは糖質制限”について、です。
ダイエット法の一つとして、一般的にはかなり確立されつつある糖質制限食について科学的根拠に基づいてお話をしていきたいと思います。
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糖質制限とは?
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糖質制限は痩せるのか?
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糖質制限のメリットとデメリット
糖質制限とは?
まず、糖質制限食のお話をする上で糖質制限とは何を指すのかについて確認しておきましょう。実際、”糖質制限”という言葉にはかなり幅があります。
論文では炭水化物の摂取量が総カロリーの何パーセントなのかもしくは何グラムという記載がされていますが、研究によってそれぞれは異なります。例えば炭水化物を総カロリーの50%以下に制限した研究と10%未満に制限した研究を同じ尺度で考えることはできません。そして、実際糖質制限には明確な定義がなく、かなり幅広い概念です。
また、令和元年の国民健康栄養調査によると現在20歳以上の日本人における総カロリーに対する炭水化物の平均の割合は56.4 %です(参考文献 1)。糖質制限食の研究において比較対象とされる食事が高炭水化物食である事があり、「糖質制限食は〇〇というメリット/デメリットがある」という事を考える上で、対照として我々の普段の食事と比較が望ましい場合があります。
また、炭水化物といっても、ぶどう糖や果糖などの単糖類と呼ばれるものから、でんぷんなどの多糖類、こんにゃくや寒天に含まれるグルコマンナンやアガロースなどの食物繊維まであり、そのどれの話をしているのか、という事も重要です(参考文献 2)。
たとえば、17 のコホート研究 に含まれた38,253 人をまとめた報告(参考文献 3)では砂糖入り飲料の摂取量が多いほど糖尿病の発症率が高くなるとされている一方、11 のコホート研究に含まれた440,669 人をまとめた研究(参考文献 4)では高炭水化物食と比べて低炭水化物食は糖尿病の発症に差はない事が報告されています。
つまり、単糖、二糖類は糖尿病のリスクである一方、炭水化物全体で考えると糖尿病のリスクではないという事です。
ただ、この様な複数の研究をまとめた報告では先述のように低炭水化物食・高炭水化物食の定義がそれぞれの研究でバラバラである事に注意が必要です。
糖質制限食は痩せるのか
まず根本的に、痩せるためには摂取エネルギーが消費エネルギーより少なくなる必要があります(参考文献 5)。現時点でこれを覆して痩せる方法を示した報告はありません。ですので、糖質さえ取らなければ他は何をどれだけ食べても太らないなどの言説がSNSで見られますが、残念ながら根拠のない言説となります。