「運動では痩せない」は本当か?
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「食事制限だけで痩せる」と言うのはよくない、というのはどこかで聞かれた事はあるかと思います。逆に「食事制限はしたくないから運動を頑張ってそれだけで痩せる!」事は可能なのでしょうか。またそれで問題はないのでしょうか。
今日は運動とダイエットをテーマにお話ししていきたいと思います。
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運動がなぜ大切なのか?
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痩せるのに大切な運動とは?
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運動が痩せないその理由
運動がなぜ大切なのか?
みなさんは体重がどれぐらいになったら、痩せなきゃ!と思うでしょうか。体重だけではなく、見た目の問題だ!とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
医学的にはBMI(体重/身長×身長)が25kg/m2以上を肥満と呼びます(参考文献 1)。ただ、筋肉が多かったり浮腫んでいたりすることによってこの基準以上となる場合は肥満とは呼ばないとされています(参考文献 1)。
この肥満の状態は様々な病気になりやすい健康リスクと呼ばれる状態です。具体的には糖尿病(境界型含む)、脂質異常症、高血圧症、痛風、心筋梗塞(狭心症含む)、脳梗塞、月経異常、睡眠時無呼吸症候群、変形性関節症、腎臓病などです(参考文献 1)。肥満の状態でこれらの病気が合併した状態を肥満症と呼びます。肥満症は十分に病気です。これらの病気は内臓脂肪が原因であると言われています。
さて、運動の効果は以前にもお話ししましたが、総死亡率や循環器疾患による死亡率の低下、高血圧や部位別のがん、2型糖尿病の発症の予防、メンタルヘルス(不安やうつ症状の軽減)や認知的健康、睡眠の向上、および肥満の指標の改善などと言われています(参考文献 2)。
つまり、肥満によって生じた健康リスクやすでにある病気の予防や改善をして、肥満による健康リスクを限りなく軽減しよう、というのが運動の大きな目標の一つです。
これらの効果は運動によって痩せる事によって得られる健康効果ではありませんので、結果として痩せなかったとしても、運動による健康効果は得られるという事が重要です。
健康効果が得られる運動については以前のニュースレターでもお話ししましたが、座位時間を減らす、歩数を増やす、ランニングをする、筋トレをするのどれでも可能です。詳しくは以前のニュースレターをご覧ください。
痩せるのに大切な運動とは?
さて、痩せるために大切な運動には先ほど述べたものの他に2つ考え方があります。
一つは内臓脂肪を減らすための運動です。閉経後の女性を対象とした 12 か月間の無作為化試験では、中程度の強度の運動した人 (最も一般的には週平均 3 時間の早歩き) とストレッチ プログラムのみの人(対照群)を比較したところ、運動した人はより多くの体重を減らし (平均差 - 1.4 kg)、体脂肪、内臓脂肪、および皮下脂肪の大幅な減少が見られ(参考文献 3)、有酸素運動が内臓脂肪を含めた脂肪を減らす事に有効である事がわかると思います。
また、体重を減らした場合脂肪だけでなく、筋肉も減ってしまいます。高齢者の場合は筋肉が減ることによって、こけやすくなったり体力が落ちてしまったりと弊害があり、筋肉をできるだけ減らさないようにしつつ、体重を減らすのは重要です。そのためには有酸素運動にくわえて筋トレをするのが良いと言われています。肥満の高齢者160 人を対象に 6 か月の減量プログラムを実施したある試験では、有酸素運動とレジスタンス トレーニングを組み合わせた方(10 分間の柔軟性エクササイズ、30~40 分間の有酸素エクササイズ、30~40 分間のレジスタンス エクササイズ、10 分間のバランス エクササイズ計75~90分を週3回)が、有酸素運動単独(10 分間の柔軟性エクササイズ、40 分間の有酸素エクササイズ、10 分間のバランス エクササイズ計60分を週に3回)で行った場合よりも筋力が向上し、筋肉量の低下が少なかったと報告されています(参考文献 4)。
という事でまとめると、脂肪を減らす有酸素運動と、筋肉を減りにくくし、筋力を増やす筋トレを同時に行っていくのが大切だ、という事になりますね。
これだけ運動が大切だ!とは言っても「運動では痩せない」という話があります。ここからはそれについて説明していきます。
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ここまでの参考文献
参考文献 1
日本肥満学会 肥満症診療ガイドライン 2022
参考文献 2
WHO 身体活動・座位行動ガイドライン
参考文献 3
Irwin ML, et al. A. Effect of exercise on total and intra-abdominal body fat in postmenopausal women: a randomized controlled trial. JAMA. 2003 Jan 15;289(3):323-30.
参考文献 4
Villareal DT, et al. Aerobic or Resistance Exercise, or Both, in Dieting Obese Older Adults. N Engl J Med. 2017 May 18;376(20):1943-1955.
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